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CONCEPT

90年代・00年代に、私たちのような山人間が魅了されたのは「登山」そのものではなく「山ギア」というひとつの嗜好だった。現代のようなファッション的な傾向ではなく、ひとつひとつの”ギミック”に純粋にテンションが上がったあの時代。まずはあの頃の心躍った感覚を呼び覚ましたい。今はウルトラライト(U.L)が主流になりつつあり、すべてのものがシンプルになっていく時代。という事は、私たちが呼び戻すのはそれに少し背を向ける"無駄"。もちろん、道具は総じて軽いほうが良い。かくいう私たちも軽量化を楽しんでいる(軽くした分、無駄な物を持っていくので結局変わらない!)。ただ、U.Lが”ファッション”に偏り始めている事を私たちは危惧している。U.Lはひとつの"手段"。その"本質"を突き詰めている人たちはともかくとして、実際はそこまでではない人たちがそこに盲目的になり過ぎるのはどうなのだろうと、ブランドを立ち上げてから思い続けている。これはU.Lに限った話ではないが、SNSで何でも容易に情報が手に入る時代、WEBで何でも簡単に手に入る時代になり、人は簡単に”答え”に辿り着こうとしている気がする。その行く末は、全てを鵜呑みにして"考える事"を疎かにしてしまい、いざという時の判断が鈍る。ファッションに偏りすぎる事で生まれる弊害はもうひとつ。同調圧力という一種のSNS病にかかる人が増え、付き合いに疲れた人たちの間に溝が生まれるというつまらない事象が起こる。もっと自由でいいはずだ。ブランドを運営している人間がファッションの否定をしているみたいでなんだか変んな感じだが・・・。だから、Nrucはあえて"無駄"を謳うことで、"考える"という本来の基本的な感覚を呼び覚ます事、そして何よりもそれがもっとも楽しいという事を、道具選びの中で再認識してもらいたい。そして、その考えるという行為を膨らませシフトしていく事で、本当に自分に合った山の楽しみ方にも出会ってもらいたい。Nrucという村の中では見栄はいらない。それが私たちの思い。マスメーカーではない、小さなブランドだから出来る事、訴求できる事をモノづくりに反映させながら、私たちはミシンを踏み続けている。

 
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RESPECT

Nrucのバックパックは70~80sなフレームザック、キスリングザックへのリスペクトが土台にある。とはいえ、よくあるカッコつけた"リバイバル"っていうのは個人的にあまり好きじゃない。それはマスメーカーの仕事だと思ってるし、あくまでも"モノづくり"の世界に身を置いた者として個性と"芸"のあるプロダクトを発信しなければガレージメーカーを謳う意味すら無いと思っている。何よりも、古き良きものへの最大のリスペクトは、そっくりそのままその時代に頼ったリバイバルではなく、良き物を更に進化させる挑戦だと私たちは考えている。

フレームザックやキスリングの特徴のひとつでもある横にぼってりとしたボックス型のポケット。私は何よりもそのフォルムが好きなので、その余韻を残しつつU.Lバックパック最低限の機能をミックスしてシェイプアップさせたのがNrucのバックパックであり、それがNrucなりの"進化への挑戦"というリスペクトのカタチ。もちろん、これが正解だなんて1ミリも思ってもいないし、うわべだけのカッコよさなんて抽象的な事にもあんまり興味が無いし、よく言われる「このサイドポケット、ボトル取り難くないですか?」なんて意見は私たちにはナンセンスでしかない。なぜならそれが"正解"しか求めていない典型だからだ。意味を知ってもらう事が重要だし、意味を伝えられるのがガレージメーカーの良さでもある。ここは<CONCEPT>と重複するが、我々メーカーは"正解"を提示するのではなく、各々に"考えてもらう"きっかけを与えるのが重要であるという思いを知ってもらいたい。「しつこいよ」と言われるまで私たちは提唱していきたい。とまあ、話が逸れたが…バックパックだけに限らず、古き良き物をもっと掘り出して、現代の価値観にどう合致させるか…そもそもこの考え方が現代にマッチしているかも分からないが、これはとても刺激的な挑戦だし、もっともっと敬意を持ってプロダクトを表現していきたい。

 
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BE A GENTLEHIKER

「​ハイカーたる者、紳士であれ」

Nrucが提唱するスタイルのひとつである。山で他人を思いやるという事。それは、小さな装備の見直しから始めることが出来る。NrucのアイテムでいうとPT-10+とFA JOHN’S POUCHがそれだ。最も分かりやすいのは後者のFA JOHN’S POUCHというファーストエイドポーチだろう。私たちの統計では登山歴が1〜3年と浅い人たちがどうやらここを蔑ろにしているケースがあるようだ。無理もない。"映え"が優先されるこのSNS時代に誰も投稿しないだろうから、雑誌を読まない限りその重要性を知る術はない。もしくは、分かってはいながらも「そのうち持たないとな…」のまま、今に至る系が大半だろう。であれば、それを逆手にとり「​ハイカーたる者、紳士であれ」と謳う事でカタチから入ってもらおう。これが出来るのがNrucであり、その行く先こそが我々の理想郷である。モノを売って終わりにはしたくない。本当に山が好きのブランドとしての責任。山でも、困った時はお互い様。助けられたハイカーは同じようにまた次のハイカーを助けられるよう準備してほしい。「〜を持ってないなんて非常識」とか「これが登山の基本」なんて口うるさい事は言わないようにしよう。皆そうやって階段を上がっていく。これが、Nrucの目指す"ジェントルハイカー"のスタイル。もちろんそれはファーストエイド的観点だけに留まらない。その先はそれぞれが考えてほしい。Nrucユーザーはみんなジェントル。そう言われたら、最高でしかない。